話題

面白い配信者はトークが上手い、と言われることが多いが会話における巧拙とは何だろう。私は“リスクのある話題を避けて場に即した話題を持ち出す能力”、“話に緩急をつけられる能力”の2つに大別できると考えている。

 

経験則だが人間は嫌な出来事の方が良かったことよりも印象深く残りやすい。これは会話においても言えることで積み重ねた関係はとても見えづらいが失言はいつまでも頭に残る。だとすれば普段は無理にウケを狙わず、失言を控えることに注力することが合理的だろう。会話は失点を抑え続けてたま~に点を取るゲームとも捉えられる。しかしただただ相槌を打ち続けたり天気の話題を続けても平坦すぎるので後者の緩急(得点)が必要になる。

 

次にリスクのある話題とは端的に述べるなら下品だったり露悪的な(個人的には親にしてほしくない)話題。代表的なものではセックス、ゴシップ、ギャンブルの3つ(後述するがギャンブルが最も低リスク)。どれも私が関心がないだけと言われればその通りだがここは個人のブログなので問題ない。そしてこれらが“場に即した話題”になる関係やコミュニティがあることも重々承知しているが、いわゆる「トークの上手い配信者」はあまり選ばない話題だと思っている。配信時間当たり3割も触れられれば多い方だろう。

なぜこれらが少なくない頻度で用いられるのか。先ほど人は嫌な記憶は良い出来事より残りやすいと述べたが、これは裏返すと嫌と感じるギリギリを攻めることで大きなリターンが得られるということでもある。強く印象付けながら得点する。お笑いに逸れてしまうが具体例としてアキラ100%の芸はセックスに分類され、誰がどう見ても下品だ。でも一線を越えそうで越えない緩急が面白い。上記の3つはどれも緩急がつきやすい(インパクトがある)話題で、即した場なら失点も起こらないのでとにかく連打するだけで盛り上がる。公共の場では話しづらいことを話せるというカタルシスもあるかもしれない。ただこの嫌と感じるギリギリのラインは十人十色なので、普段の会話では関係性を考慮して話すことが前提になる。そして配信者という不特定多数を相手にする場合はそもそも選ばないことが正着になりやすい。

先ほどは列挙したが上記の中では傾向としてギャンブルが最も受け入れられやすい話題だと思う。要因として基本的に展開が予想しやすい(勝つか負けるか)ので聞き手の負担が少なく、当人が確実にリスクを背負っている公平性が挙げられる。しかしこれらの要因があった上でもギャンブル観はかなり個人差が大きく、選ばない方が無難だろう。ガチャ報告は危険。

 

ここ数年で急に話す機会が増えてどうしても会話へ意識を割くことになったので備忘録として。理屈くんだから言語化が好き。